ivy cage 工房ノート

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tempestas aquamarine 08:30

 

 

3月の誕生石アクアマリン。

ベリルという鉱物を色分けしたとき、青色のものがアクアマリンと呼び分けられるため、青以外のアクアマリンはありません。

でも、アクアマリンそのものは青でも、内包物がたっぷり入ったアクアマリンは別の色に見えることがあります。

 

わたくしが大好きなのは、ivy cageではおなじみの「モスアクアマリン」。

モスと一口に言っても、インクルージョンの入り方によって、まったく別の見え方になります。

 

あるものは、塵のような小さなインクルージョンが散らばっていたり。

あるものは、インクルージョンが黒っぽい苔のような模様を描いていたり。

あるものは、インクルージョンが帯状に入ることで縞模様になっていたり。

あるものは、密集したインクルージョンが鏡のように光を反射してギラギラと輝いていたり。

あるものは、澄んだ石のなかに黒や赤のインクルージョンがプランクトンのように漂っていたり。

 

あまりにもインクルージョンが多すぎて、アクアマリン自体が黒く見えるレベルになると、さすがに「青色」としては扱えなくなるため、ブラックベリルと呼び変えられます。

さらにインクルージョンの種類や形状によって、サンストーンのように赤いラメが輝いたり、シャトヤンシーが出たり、水のなかに雨が降っていたり、無数の気泡が昇っていくように見えたり…

澄んだ青い海のはずなのに、一度その魅力にはまるとなかなか抜け出せない、まさに底無し沼。

それがアクアマリン。

 

画像は、薄墨色のイルメナイトをやや多めに内包したアクアマリンのブリオレットを陽に翳して撮影したもの。

まるで嵐の海を閉じ込めたようです。

 

 

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| 石話 | comments(0) | - | posted by Yati
クナウノンノのオイナの話 09:00

 

実家の庭先に福寿草が顔を出しました。蕾がたまらなくかわいい。

 

福寿草を見ると、あるオイナのことを思い出します。

 

オイナとはアイヌに伝わる神謡のことで、ユカラと同じように口演で伝わる神様の物語。

そのなかに福寿草が登場します。

 

アイヌ語で福寿草を呼ぶ名前に、クナウ、またはクナウノンノがあります。

ノンノとは花のこと。クナウは美しい女神様の名前です。

蕗の薹のこともクナウと呼びますが、要は雪解けに咲く花にその名をつけたのでしょう。

 

アイヌの世界観では、植物も神様からの賜りものなので、恩恵を受ける部分に名前を付けます。

たとえば桜なら、暮らしの役に立つ部分は「カリンパ(桜の樹皮)」で、それが採れる桜の木だから「カリンパニ(桜の樹皮の木)」という調子。

花も同じで、民芸品のモチーフとしてよく用いられるハナマスも、実際大事なのは実のほうなので「マウ(ハナマスの実)ニ(木)」で「マウニ」。

そして福寿草は「チライキナ」または「チライアパッポ」。

イトウの草、イトウの花という意味で、イトウ魚が川を遡上する時期にこの花が咲くので、福寿草が咲いたら漁の支度をする、という指標として役立ったからです。

どうも花の美しさをただ愛でる、ということはあまりなかった様子。

それでも雪に覆われた真っ白な大地を割ってこの黄色の花が咲くと、川に魚が戻り、雪が解けて山菜も採れる春がやってくるので、アイヌの人々はこの眩い花をことさら愛し、女神の名前を与え、物語を謡いました。

 

美しい霧の女神クナウは、親が取り決めた貂の神ホイヌとの縁談を拒否したためにホイヌの怒りを買って花になってしまい、貂の冬眠している冬に咲いて天上を恋しがっている。

…という話が主流のようですが、私が最初に聞いたのはまったく別の話でした。

 

曰く、とんでもないお転婆の女神クナウが両親の目を盗んで降り立った下界でテンションが上がってしまい、山の上で踊って大災害を起こした罰として地中深くに閉じ込められ、春先だけ花になって顔を出すことを許されたので、被害を受けた人々を励ましながら助けて助けてと訴えている、という。(オイナの中で幾度も助けを求めるリフレインが入る)

 

伝わるうちに他の話と混じったのか、単に別バージョンだったのかは不明ですが、貂から隠れて咲いているにしてはあまりにも目立つ花なので、どちらかというと後者のほうに説得力を感じます。

参考文献の記録は遥か昔にUSBメモリの故障と共に消えてしまったので、オイナやカムイユカラに詳しい方がいらっしゃいましたら是非教えてください。

 

 

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| 徒然 | comments(0) | - | posted by Yati
淡い色のアメシストの話 19:00

 

 

アメシストといえば高貴な紫!

というのは、今も昔も品質を重視する宝飾畑の価値観ですが、近年は淡い色に爆発的な人気が出ています。

 

色が薄くて売れない原石をもっともらしく売っている…なんて陰口もなんのその。

最初のきっかけが何であれ、選択肢があるというのは良いもので

ピンク寄りやラヴェンダー色、わざわざ二度焼きして作られる乳白色のスコロライトまで、

アメシストのバリエーションが増えたことで、コレクションや色合わせの楽しみにずいぶん幅が出たのは嬉しいことです。

 

バリエーションついでに

加熱でシトリンに変えたり、照射加熱で緑にしたり…

こうなるともう厳密にはアメシストではなくなるけれど、石業界の努力の賜物であることは確か。

わたくしは乳白色に近い、とろけそうな淡いアメシストがとても好き。

 

写真は南アフリカ産のカクタス・アメシスト。

サボテンのような姿と淡藤色が美しい標本です。

 

 

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| 石話 | comments(0) | - | posted by Yati
ガーネットと紙やすりの話 17:05

 

 
ガーネットにも様々な色がありますが、真っ先に思い浮かぶのは深い赤色のアルマンディン。

アルマンディンはガーネットグループに属する石のうち最も産出量が多く、目に触れる機会も多い身近な宝石のひとつです。
同じ赤色のパイロープとは非常に似ており、色だけでは区別のつかないものもありますが、基本的にはパイロープは血のような赤色、アルマンディンはそれよりもやや紫がかった暗赤色を示します。

 

このアルマンディンガーネット、宝石に興味のない方にとっても、実は身近なところにあります。
耐水ペーパー、サンドペーパーなどと呼ばれる、いわゆる紙やすり。
目の粗い紙やすりを使うと赤茶色の小さな粒がポロポロと落ちますが、あれがアルマンディンです。

そのまま「ガーネットペーパー」とも呼びます。
紙やすりの他では、すりガラスなどを作成する際のサンドブラスト加工で、表面に吹き付ける砂として使われています。

 

宝飾用にならない非常に小さなアルマンディン、不純物の多いコランダム、エメリー鉱などの鉱物が大きさでふるい分けられ研磨剤として使用されますが、それらをまとめて「金剛砂」と呼称します。
「金剛」はダイヤモンドの和名にもなっており、要は「固い」ということ。さらに金剛砂を産出する奈良と大阪の境の山には金剛山と名がつきました。

 

最近では炭化ケイ素などの人造研磨剤が主流になっているため、天然鉱物からなる金剛砂の使用は減少しつつあります。

妙に見覚えのある色の研磨剤を見つけたら、綺麗な粒がないか探してみてください。

 

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| 石話 | comments(0) | - | posted by Yati
謹賀新年2024 08:00

 

明けましておめでとうございます!
旧年中はivy cageをご愛顧戴き、誠にありがとうございました。

 

昨年もchambrette様でのお取り扱いをはじめ
作品をお手に取って戴いた方々、オーダーを戴いた方々、
アクセサリーをご愛用中の方々に支えていただき、制作を続けることができました。
心より感謝申し上げます。

 

これまで販売商品や近況についてのご案内は
主にTwitterで発信させていただいておりましたが、
ようやくInstagram販売の体制を整えることができましたので、引き続きこちらをメインに更新して参りたいと思います。
家人がメインで行っている保護猫活動に関しても軽く触れておりますので、よろしければ併せてご覧ください。

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和六年 元旦

 

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| 徒然 | comments(0) | - | posted by Yati
夕暮れ前のひととき 22:55

 

 

漸くゆっくりと散歩が出来る涼しさになったと思ったら、
陽が沈むともう上着の要る肌寒さ。
年々、春や秋が短くなっている気がします。

本格的な寒さを迎える前に、山の方にも遊びに行きたいなぁ。

 

JUGEMテーマ:日記・一般

| 徒然 | comments(0) | - | posted by Yati
リコリス・ラディアータ 15:59

 

 

つい先日まで、たくさんの赤蜻蛉がじゃらじゃら音をたてて飛んでいた川辺に

今はまるで入れ替わったように真っ赤な彼岸花が咲いています。
 

彼岸花には幼い頃の思い入れがあって、学名というものに初めて触れたのもその時。

おかげで彼岸花の学名だけは特に意味もなくしっかり覚えています。

仕事ばかりで籠っているとついつい見逃してしまいがちですが、

こんなに鮮やかで美しい花が咲くことは、できれば毎年ちゃんと思い出しておきたい。

| 徒然 | comments(0) | - | posted by Yati
変わり目 09:52

 

chambrette様にお預かりいただいていたアクセサリーを

徐々にサイトへUPしております。

Instagramの投稿からも商品ページへアクセスできるようになりましたので

気になるものがありましたら、是非ご覧くださいね。

 

まだまだ残暑が続きますが、日差しはすっかり秋の色。夜もだいぶ涼しくなってきました。

都会では新型コロナやインフルエンザがひどく流行しているようで、

マスクを外した方の多い地域では明らかに感染リスクが跳ね上がっている様子。

東京を巡る用事もたくさんあるのですが、しばらくは自重するしかなさそうです。

健康に勝るものなし。

 

| shop情報 | comments(0) | - | posted by Yati
chambrette雑貨洋品店様 お取り扱い終了のお知らせ 07:11

 

ながらくお世話になってきた

chambrette雑貨洋品店様でのお取り扱いが

8月末で終了となります。

 

都立大学のKOMPIS時代から、居心地のよいあたたかな空間で

たくさんの素敵なご縁を繋いでいただいた、小さくて可愛らしいお店。

名残惜しくも感謝でいっぱいです。

 

chambrette雑貨洋品店様の今後の営業に関しましては

お店のHPからご確認ください。

https://chambrette.net/

 

ivy cageのアクセサリーは今後も当ウェブショップにて販売を続けて参ります。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

| shop情報 | comments(0) | - | posted by Yati
謹賀新年2023 06:00

 

明けましておめでとうございます!

旧年中はivy cageをご愛顧戴き、誠にありがとうございました。

 

昨年は引き続き世田谷線松陰神社前のchambrette様でのお取り扱いをはじめ

作品をお手に取って戴いた方々、オーダーを戴いた方々、

アクセサリーをご愛用中の方々にあたたかなお声掛けを戴き、心より感謝申し上げます。

 

生活も以前とは大きく変わり、皆様と直接お会いできる機会はめっきり少なくなりましたが

ivy cageを通じた古くからの繋がりにまた新たなご縁も加わり、

ますます頑張らなければと気が引き締まる思いでおります。

 

また、感染症罹患の声がそこかしこに聞こえる中、

家族やまわりの人々のことを思い神経を擦り減らす日々が続いております。

私も自身に出来ることを精一杯努めつつ、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

 

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

令和五年 元旦

 

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